笑って感じる
東京でも冬には雪が降るってことがたまにはある
そしてさっき目覚めてパジャマ姿のままドアから顔を出したのは
「気配」があったから
午前5時の路面に薄く雪が降り積もっている
暖かい地方に住むぼくにとってはちょっとした神秘的な風景だね
白い風景の中にたった一筋、点々と続く足跡がある
早朝、アパートから外出した人がいるということ
誰だかわからないその住人が
足跡の窪みを残してその映像をぼくの目に送信している
他人となるべく接しないで社会生活を営めないものか、なあんて
虫のいいことを考えているぼくも
窪みとなったその人とならつき合えそうだ
小さくなって、その狭い空間の中に体を折り曲げて横たわり
目をつむる
彼だか彼女だかの、その人の「気配」が感じられるから寂しくはない
7時近くになれば出勤する人も出てくるだろう
ぼくとその人は踏み荒らされて
2人が混ざり合ったこの薄暗い命は絶たれてしまうけれど
そうなったら職場で要求される仕事を頑張ってこなすことを心がければいいこと
今はこの冷たい狭い空間がぼくの呼吸に合わせて
伸びたり縮んだりするのを
笑って感じていたいだけなんだ
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