光合成
美術館と博物館をハシゴした足を休めようと
キョロキョロしながら座るところを探す
ゴールデンウィーク中の上野公園は人でいっぱい
ハトとポップコーンと風船が汗ばむほどの陽気の中を出たり入ったりしている
あ、あそこ? 見つけたベンチの端っこで
おじいさんが目をつぶったまま座っている
近づいてみましょう
白髪頭を背凭れに乗せて天を仰ぐカッコ
両手をお腹の上で組み、足元にはステッキが転がってる
グレーのジャケット(結構オシャレ)から体が滑り落ちてしまいそう
散歩に来て一休みしてる間に眠くなってきちゃった、って感じかな?
さんさんと降り注ぐ陽光を浴びて
軽く開けた口から気持ちよさそうに涎を流し、昼寝を楽しんでいる
おじいさん、「いいこと」してますね
植物が葉を広げて養分を作るように
おじいさんもベンチで体を広げて「楽しい時間」をムクムク作り出しているぞ
生きるために必要不可欠な、無責任な放心状態
というより逆かな、ぼくたちは
この状態を実現するために目覚めてせっせと「活動」しているのかもしれない
とりあえず目の前にいるおじいさんは
植物たちの静かな静かな楽しみに追いつこうと
頑張って無意識を維持している
あ、そよ風が吹いて、白髪を揺らしたよ
あ、ハエが飛んできて、額に止まったよ
おじいさんは目をつむったままうるさそうに首を左右に振る
頑張れ、おじいさん
意識に負けるな
意識に負けるな
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