いたっていいじゃん
鉄棒で逆上がりをしようとして何度も失敗し 果敢にまたチャレンジする子供たち− そんな幽霊がいたっていいんじゃんか てゆーか、実際いるし 丁度通りがかった小さな公園にぽつんと鉄棒が置いてあった 鉄棒だけで他の遊具が全然ない 滑り台やら何やらもあったが取り払われて鉄棒だけが残ってる それもいつかは撤去されて多分公園自体もなくなるんだろう 公園のまぢかな死 そう考えるとちょっと不気味だなー なんて思ってたら 小学高学年に見える女の子がおへそを見せながらクルッと回転に成功 横の小学低学年に見える男の子は明らかに回転不足で地面に落ち 更にその横で幼稚園児らしき男の子だか女の子だかわからない子が 鉄棒にぶら下がることもできないで指をしゃぶりながら二人をボーゼンと見てる 着てる服の野暮ったさから見て こいつらがここにいたのは70年代の初めくらいだろう もうさっさと大人になって 今は会社員とか母親とか父親とかの役目を忙しくこなしてるに違いない あっ、もしかしたらぼくより年上かもしれないな だけど、あッちゃー 蘇らせちゃったんだよな 君たちを立派な幽霊として 真昼間から、ぼくは見ている 鉄棒に向って何度もチャレンジする姿を 一人は成功、一人は失敗、もう一人は…こいつだけチャレンジ以前かな とにかく飽きもせずリピート ぼくは心配する 鉄棒が撤去されたらお前たち、どうするの? 公園がなくなったらお前たち、どうするの? 赤い厚手のスカートがひらひらっと軽く笑う 黒い半ズボンがストンッと泣く スカートだかズボンだかわからない黄色い何か(ちょっとボヤけててね)は わからないままにぼーっと立っていて それはそれでいい味醸し出している これから寄らなきゃいけないところがあるこれでバイバイするけど なるたけ頑張ってそこにいてね ホントはね、できればぼくもそこにいたいんだ ぼくが逆上がりができたのは小学校2年の時 先生にほめられて、おかあさんにもほめられた 君たちと一緒にそこで練習できないのが残念だけど 2年生だったぼくも、君たちに負けないくらい一生懸命練習したんだ 君たちと一緒にそこにいたって不思議じゃないくらいにね (おっと、指しゃぶってる君、気にしないで ぼくなんか小学校にあがる前は、逆上がりはやろうとすら思ってなかったんだよ)
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